【連載コラム5】第1回「もうがんばれない自分に、がんばらなくていい理由をあげたい」


「どうして、うまくいかないんだろう…」

誰にも言えないまま、またリセットの日を迎える。
誰かと比べても仕方がないって、頭ではわかってる。

でも、やっぱり悲しい。虚しい。悔しい。
「きっとがんばれば報われる」 「努力すれば、きっと赤ちゃんは来てくれる」

そう信じてここまできたのに…

カラダは正直で、ホルモン治療や注射の副作用で心が揺れて、 毎日泣きたくなるくらいしんどくて。
それでも仕事はあるし、生活は回していかないといけない。

「がんばるしかない」

そう思って、ずっとがんばってきた。
でも本当は、もうとっくに限界だったのかもしれません。


「うまくいかないのは、あなたのせいじゃない」

私は助産師として、たくさんの人の妊娠・出産に関わってきました。
また 心理カウンセラーとしても、心がボロボロになるほど苦しんできた 女性たちにたくさん会ってきました。

妊娠できるかどうかは、がんばりではコントロールできないことがたくさんあります。

医学的にも、原因がはっきりしない不妊もたくさんあります。
治療をしていても、どうしても結果に結びつかないケースもあります。

それはあなたの「努力が足りない」わけじゃない。
むしろ、あなたは、もう充分すぎるほどがんばってきた
だから 「私が悪い」「もっとやれるはずだった」なんて、思わないでください。


「心と身体は、あなたを守ろうとしている」

がんばっていると、ふと何も感じなくなるときがあります。
気持ちが追いつかず、涙も出ない。
喜びも悲しみも、どこか遠くにあるような感覚… ああ、生きた心地がしない…

それは「もうこれ以上は無理だよ」という 心が発した サインかもしれません。

そうやって 心も身体も、あなたを守ろうとしています。
限界を超えてしまう前に、 「一時停止ボタン」を押す勇気も、大事な選択です。


「がんばらない、という選択肢」

一歩立ち止まることは、決してあきらめなんかじゃありません。
勇気ある“ 方向転換 ” です。

「今は治療をお休みしてみよう」
「今は、自分の心を優先しよう」

そんな風に思ってもいいのです。

あなたの人生は、妊娠・出産だけで決まるものではありません。
たしかに、その一部かもしれないけれど、すべてじゃない。

がんばらない自分を責める代わりに、
「ここまでよく耐えてきたね」
「本当に、よくがんばってきたね」
って、自分に声をかけてあげてほしいのです。

思い切って 治療をお休みしてふと力が抜けた先に、見える別の世界もあるものです。


おわりに

このコラムは、治療のやめ時をすすめるためのものではありません。
あなたが「また前を向こう」と思えるまで、そばにいるような文章になればと思って書いています。

次回は「あなたの毎日は “ 治療中の一時的なもの ” じゃない
「いま、ここを生きる」ことの大切さについて、お話ししていきますね。