
「なにもしてないわけじゃないのに…」
不妊治療をしている人の多くが、
「私、まだ何も結果を出せていない」
「何年も治療しているのに、進んでいない気がする」
と、自分を責めてしまうことがあります。
でも、私から見れば――
あなたは、とんでもない努力を続けてきた人です。
病院に通い、採血をし、内診を受け、注射のスケジュールに合わせて生活を調整し、
薬の副作用に耐えながら、
生理が来るたびに気持ちを立て直してきた。
不妊治療を経験した方にしかわからない大変さがあります。
これって、本当に本当にすごいことをされています。
「“ 結果が出ない ”ことと、“ 意味がない ” ことは違う」
治療がうまくいかないと、
「私がやってきたことは意味がなかったのかもしれない」と感じるかもしれません。
でも、それは違います。
たとえ結果が出ていなくても、
あなたが重ねてきた選択や時間は、確かに存在していたし、あなたを支えてきました。
意味のある・なしを “ 妊娠できたかどうか ” だけで 判断しないでください。
それをやってしまうと、
心はどんどん消耗し、「私は何もない人間だ」と感じてしまうからです。
あなたがしてきたことには、あなた自身の価値が宿っている。
それは、誰にも奪えない、あなたの尊さです。
不妊治療…
これは経験したことのない人にはわからないことかもしれないけれど、
どれだけの思いでここに向き合ってきたかと想像するだけでも、
あなたの心の奥にある「願いの深さ」と「痛みの重さ」に、
私はただ静かに頭を下げたくなります。
誰にも見せていない涙を、
ひとりで抱えた不安を、
何度も立ち上がってきた、その強さを、
本当に、あなたはよくここまで歩いてこられましたね。
その道のりに、意味がないなんてことは絶対にありません。
あなたの選んできた一つひとつの選択は、全部、ちゃんと意味があるものです。
「心が壊れる前に、立ち止まっていい」
でも、ある日突然、気力がまったくわかなくなることがあります。
涙も出ない。笑えない。眠れない。体が重い。
そうなったとき、人はよく「私、弱くなったのかな」と言います。
でもそれは、弱くなったのではなく、頑張りすぎた証拠。
心は壊れる前に、SOSを出してくれているのです。
もう無理をしなくていい。
“治療をがんばる私 ”だけが、あなたじゃない。
どうか、自分の心の声に、耳を傾けてあげてください。
「あなたの味方は、必ずいる」
「誰にも話せない」
「わかってもらえない」
そんな孤独を感じている人も多いでしょう。
でも、この世界には、あなたの経験や苦しみに、ちゃんと耳を傾ける人がいます。
助産師、心理カウンセラーとして、私はずっとあなたの味方でありたい。
何も答えが出なくてもいい。
ただ話すだけで、心が少し軽くなることもあります。
自分のために、話していい。頼っていい。泣いていい。

おわりに
あなたが今日まで生きて、治療に通い、自分を支え続けてきたこと。
それは誰よりも、あなた自身が一番知っているはずです。
だからこそ、自分で自分をほめてあげてほしい。
「ここまで、よくやってきたね」
「本当によく頑張ってきたよ」って。
次回は、そんなあなたがときに傷ついてしまう「夫婦の温度差」について、
心のすれ違いとその乗り越え方を、一緒に見つめていきましょう。
第4回 夫婦の温度差に傷ついたとき