【連載コラム8】第4回:傷ついた心のケア〜 “ 時間が解決する ” だけじゃない癒しの道〜

「時間が経てば、きっと楽になるよ」
そう言われたことがある方も多いのではないでしょうか。

けれど、浮気や不倫という深い傷を受けたとき、「時間が経っても全然楽にならない」「むしろ、前よりも辛くなっている気がする」と感じることがあります。

それは決して、あなたが弱いからではありません。
心の傷には、時間だけでは癒えない “ 向き合い方 ” や “ ケア ” が必要なのです。

今回は、助産師・心理カウンセラー・結婚カウンセラーという3つの視点から、心の癒しについて丁寧にお話ししていきます。


「感情にフタをする」と、時間は止まったままになる

傷ついたとき、人は “ 感じないようにする ” ことで自分を守ろうとします。
「もう大丈夫」「忘れた方が楽」と、心にフタをしてしまうこともあるでしょう。

けれど、実はその瞬間から、心の時間は止まったままになってしまうのです。

表面上は笑顔で過ごしていても、ふとした瞬間に涙があふれたり、怒りが込み上げてきたりするのは、その “ 止まった時間 ” が、まだそこにあるというサイン。

まずは「私はまだ傷ついている」と、自分の心に静かに気づいてあげることが、癒しの第一歩になります。


傷の痛みには “ 意味 ”がある

浮気や不倫をされたとき、私たちは「裏切られた」という事実以上に、

  • 自分は大切にされていなかったのでは?
  • 自分には魅力がないのでは?
  • なぜ私は、こんなに傷ついているの?

そんな “ 自己否定 ” や “ 無価値感 ” と戦うことになります。

でも、痛みには意味があります。
その感情が湧き上がるのは、それだけあなたが誠実に、まっすぐに愛そうとしてきたから。
「自分がダメだから傷ついた」のではなく、「それほど大切にしてきた心を、踏みにじられたからこそ痛い」のです。


心の傷をケアする3つの視点

心の回復は、“ がんばる ”こ とではありません。
優しく、ゆっくり、今の自分に寄り添うことです。以下の3つの視点を持つことで、癒しのプロセスはぐっと進みやすくなります。

1. 体の反応に目を向ける

ストレスは、体に必ず現れます。眠れない、動悸、頭痛、食欲不振……。
これは「ちゃんと傷ついた」という証拠であり、「休んでいいよ」という体の声です。

まずは呼吸を深くして、あたたかい飲み物を一杯飲んでみてください。
体をケアすることで、心も少しずつ緩んでいきます。

2. 感情に名前をつける

怒り、悲しみ、虚しさ、孤独……。

湧き上がる感情に「名前」をつけてあげましょう。
「いま私は、悔しいんだな」「これは、寂しさなんだ」

名前をつけることで、感情は暴れなくなります。まるで話を聞いてもらえた子どものように、すっと落ち着いていくのです。

3. 自分を信じる

「もう誰も信じられない」と感じるとき、いちばん信じてあげたいのは “ 自分自身 ” です。

信じられなくなった相手のことよりも、
私はこれから、どうありたいか?」に目を向けること
この先の人生をつくっていくのは、傷ついた “ あなたの自身” だからです。


【心に優しくなるワーク】「今の私にかけてあげたい言葉は?」

紙とペンを用意して、以下の問いにそっと答えてみてください。

  • 今の私、どんな気持ちがある?
  • それはどんな出来事の影響かな?
  • その気持ちを抱えた私に、どんな言葉をかけてあげたい?

例:「ずっとがんばってるね」「傷ついていいんだよ」「ひとりじゃないよ」

ポイントは、“ 他人に言ってもらいたい言葉 ”ではなく、“ 自分が自分にかけてあげたい言葉 ” を選ぶこと。
これは、自己肯定感の種になります。


ひとりで抱えず、あなたの心に触れる対話を

コラムを通じて、少しでも自分の気持ちに優しくなれたなら嬉しいです。
けれど、傷の深さや状況は人それぞれ。ひとりで乗り越えるには限界があることもあります。

あなたが安心して気持ちを話せる場所を、私たちは用意しています。
「しんどいな」「この想い、話してみたいな」
そんなときは、どうぞカウンセリングの扉をノックしてみてくださいね。


次回は、まとめとして「浮気・不倫を乗り越えたその先へ〜 “ 再出発 ”を選ぶあなたに伝えたいこと〜」をお届けします。

心に傷を負ったあなたが、また人生の舵を自分の手に取り戻せるように。
どんな一歩を踏み出すのか、一緒に考えていきましょう。