【連載コラム8】第5回：浮気・不倫を乗り越えたその先へ〜“再出発”を選ぶあなたに伝えたいこと〜

「これから、私はどうしたいんだろう」
怒りや悲しみ、葛藤の波をくぐり抜けた後に、ふとそんな想いが湧いてくることがあります。

「許す」「忘れる」「続ける」「終わらせる」——
そのどれを選んでもいいし、どれもすぐに選べなくても大丈夫。
今回は、浮気や不倫という大きな傷を乗り越えた “ その先 ”に、どんな人生が待っているのか。
助産師・心理カウンセラー・結婚カウンセラーの視点から、“ 再出発 ”をテーマにお届けします。

「なぜあの経験があったのか」を、自分の言葉で語れるようになるまで

時間とともに、あの日の記憶は遠ざかっていくかもしれません。
けれど、それだけでは本当の意味で “ 乗り越えた ” とは言えないこともあります。

乗り越えた、とは——
「あのとき、ああだった。でも私は、こう選んできた」と
自分の言葉で語れるようになったときに、初めて訪れる境地です。

あなたの傷も、選択も、悩んだ日々も、すべてが人生の一部になっていく…
それは、傷を乗り越えた“ あなたの物語 ” の始まりでもあります。

浮気や不倫をされた後の時間は、相手の言動に心が大きく揺さぶられがちです。

帰宅時間が少し遅いだけで、「またあの人と会っているのでは」と疑ってしまう
スマホを触っている姿を見るだけで、「隠れて連絡してるのかも」と不安になる
優しくされたら、「本当なの？罪悪感からじゃないの？」と混乱する

信じたくても信じられない、先が見えない苦しさ——
そんなふうに、相手がどうするか・何を言うかで、自分の心の状態が左右される状態になります。
これは、自分の人生のハンドルを “ 相手側 ” に渡してしまっている状態 です。

本来は、自分の感情や選択は自分でコントロールできるもののはずなのに、
気づけば、相手の言動によって一喜一憂し、自分の心の主導権を手放してしまっているのです。

この状態が続くと、

という苦しい状態に陥りやすいんですね。

この「ハンドルを取り戻す」という意識が、心の回復にもつながっていきます。
つまり、「相手がどうか」ではなく「自分がどうしたいか・どう感じているか」に目を向け直すことが大切なんです。

回復するとは、
「自分の人生の決定権は、私にある」と取り戻すこと。

それは決して、強くならなきゃいけないという意味ではなく、
「私は私の選択をしていいんだ」と思える安心のことなのです。

傷が癒えるプロセスは、「あの人が変わってくれたか」ではなく、
「私はどうしたいか」に目を向けたときに、大きく動き出します。

・私は、どんなパートナーシップを築いていきたいのか？
・私の人生で、大切にしたい価値観はなんだろう？
・誰と、どんな日々を過ごしていきたいのか？

過去に振り回されることから抜け出し、“これから”を見つめるあなたは、もうすでに再出発の扉の前に立っています。

静かな時間を取って、自分自身に手紙を書いてみてください。

宛先：これからを生きる私へ
・あなたは今まで、どんなことを乗り越えてきたの？
・その中で、どんな力や想いに気づいたかな？
・これからの私は、どんな人生を歩んでいきたいと思う？
・どんなふうに笑っていたいかな？

書き終わった手紙は、そっとしまっておいてもいいし、声に出して読んでみるのもおすすめです。
“ これからの私 ”とつながることで、未来に向けたあたたかい力が湧いてくるはずです。

浮気や不倫という出来事は、ただの “ 事件 ”ではなく、
あなたの価値観・人生・そして心そのものを揺るがす大きな出来事だったはずです。

でも、だからこそ見えた “ 自分の大切にしたいもの ”がきっとある。
その気づきは、これからのあなたにとって、揺るぎない人生の指針になるはずです。

ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
あなたがこのシリーズを通して、少しでも自分の心にやさしくなれたなら、とても嬉しいです。

でももし、
「まだ辛い気持ちが消えない」
「一人で抱えるのがしんどい」
そんな思いがあるなら、どうかそのままにしないでください。

私たちは、あなたの声を丁寧に聞き、安心して話せる場所を用意しています。
浮かんでくる想い、全部持ってきてくださいね。
あなたの心の声に、そっと寄り添わせていただけたらと思います。

▶︎カウンセリングのご予約はこちらへ

この5回シリーズを読んでくださったすべての方へ。
傷ついた心にも、必ず “ 再び愛せる力 ” が眠っています。
その力を、焦らず、あなたのペースで育てていってください。