「セックスのこと、どう伝えたらいいかわからない」〜“察してほしい”気持ちと、“言えない”罪悪感のあいだで〜
「今は無理なんだよね」 ── そう 伝えたいけれど、傷つけそうで言えない。
相手が求めてきたとき、「嫌だ」とは言えずにいつも 応じてしまう。
でも、後になって、必ず 自己嫌悪と虚しさが残る――
そんなふうに、性の場面で “ 本音 ” を言えずに、心をすり減らしている人は少なくありません。
パートナーとの関係は大切にしたい。
だからこそ、セックスを断ること=愛情を否定することのように思えてしまう。
けれど本当は、自分の心と体の感覚を置き去りにしたままでは、関係はどこかで苦しくなってしまいます。
具体的な事例:「申し訳なさ」で応じてしまう私
夫は優しくて、育児も手伝ってくれるんです。
だから余計に、「今日は無理」と言いづらくて…。
求められると応じるけれど、実は全然そんな気分じゃなくて、
終わったあとにひとりで自己嫌悪になります。
まだ結婚前だけど、彼から「セックスできないなら結婚は考えられない」と言われてしまいました。
本当は、痛みもあるし、どうしても気持ちがついていかない。
でも、子どももほしいし、彼との関係も続けたいから、
断れずに無理してしまっている自分がいます。
どちらも、相手の期待に応えられない自分が「ダメなんだ」と責めてしまう、
そんな切実な葛藤です。
でも 実際には、体に痛みがある・心が追いつかない・過去の体験が影響しているなど、
理由は一人ひとり違います。
でも共通しているのは、「本当の気持ちを伝えるのが怖い」という思い。
なぜ、性のことになると “ 言えなくなる ” のか
性について話すことは、まだまだタブー視されがちです。
「言葉にするのは恥ずかしい」「わかってもらえないかも」
そんな思いが、無意識にブレーキをかけてしまうのです。
また、日本の性教育では、「どう伝えるか」「どう断るか」を学ぶ機会がほとんどありません。
そのため、多くの人が “ 察してほしい ” という期待に頼るしかなくなり、
結果として、「言えない」→「応じてしまう」→「苦しくなる」というパターンを繰り返してしまいます。
あなたが悪いのではありません。
ただ、「学ぶ機会がなかった」だけです。
そして、「伝え方を練習していい」ことを、まだ知らなかっただけなのです。
でも 無理に応じ続けると、何が起きるか ?
本当はつらいのに、我慢して応じ続けてしまうと――
- 体がさらに反応しにくくなってしまう
- 心の距離がどんどん離れてしまう
- 「触れられるのが怖い」「拒否されたくない」という悪循環が強化されてしまう
- 自分の心が壊れてしまう
無理に合わせ続けることは、むしろ相手との信頼関係を壊してしまうこともあるのです。
「断ること」が愛情の否定ではなく、関係性の再調整の一歩になることもあります。
あなたの「違和感」には意味がある
痛みや気乗りしない感覚は、あなたの身体と心からの大切なサイン。
そこにちゃんと耳を傾けることが、自己肯定感を守るうえでもとても大事です。
「断る」=「わがまま」ではありません。
むしろ、「自分を大切にする選択」なのです。
その違和感がどこから来ているのかを丁寧に見ていくことで、
あなた自身が、性に対して安心して向き合える土台が整っていきます。
カウンセリングという安心な場で、伝え方を探してみませんか
「言葉にできない」「自分でもよくわからない」
そんなモヤモヤの段階でも、カウンセリングでは大丈夫です。
助産師として、女性の身体の仕組みや性の変化に寄り添いながら、
心理カウンセラーとして、その奥にある気持ちを一緒に整理する。
そんな関わりができるのが、助産師であり心理師であるカウンセラーの強み です。
そして、必要であれば、パートナーにうまく伝えられない想いを、専門家が間に入って伝えることも可能です。
妊娠・出産の場面で助産師に関わってきた経験のある方も多く、
「助産師さんがそう言うなら」と耳を傾けてくれる男性も少なくありません。
あなた一人で抱え続けなくて大丈夫です。
まずは 言葉にならない想いを、一緒に整理してみませんか?

※この連載は女性向けの内容ですが、男性の性やパートナーシップに関するご相談も多く寄せられています。
男性向けのコラムも、今後別シリーズとして展開予定です。