なぜ「終わりにしよう」と言ってしまうのか 〜試し行為で関係を壊してしまう前に〜
「もう、こんな関係やめよう」
「別れた方がお互いのためかも」
本当は終わらせたくないのに。
そんな言葉を口にしてしまう自分に、後から自己嫌悪したことはありませんか?
カップル・夫婦カウンセリングを行っていると、この「別れを口にする癖」が、実はとても多くの人の無意識のパターンになっていることに気づきます。
関係を終わらせる “ ふり ” をしてしまう心理
関係がうまくいかないとき、心の中にあるのは「どうしてわかってくれないの?」という悲しみや孤独です。
でも、それをそのまま伝えるのは怖い。
拒否されるくらいなら、先に自分から終わらせようとする。
あるいは、そう言えば相手が焦って「離れないで」と言ってくれるかもしれない――。
それが、“ 試し行為 ” としての「終わりにしよう」などという言葉につながるのです。
でも、言われた側はどう感じている?
この言葉を聞いた相手は、「本気で別れたいのかも」と思うかもしれません。
あるいは、責められたように感じて黙ってしまうこともあります。
そしてその沈黙や距離が、さらに「やっぱり私なんて愛されてないんだ」という思いを深め、ますます不安と怒りに飲み込まれてしまう――。
こうして、本当はつながりたいのに、どんどん関係が壊れていくという悪循環が始まってしまうのです。
「終わりにしよう」と言いたくなったとき、自分に問いかけてみてほしいこと
・今、本当はどんな気持ちがあって、その言葉が出そうになっているのか?
・「終わりにしよう」の代わりに、どんな言葉をかけてもらいたかったのか?
・この関係、本当は続けたいの?終わらせたいの?
言葉にする前に、ほんの一呼吸おいて、自分の「本当の願い」に触れてみるだけでも、選ぶ言葉が変わってくるかもしれません。
「傷つきたくない」から出る行動を変えるには
関係の中で繰り返される “ 試し行為 ” は、過去の傷や自己価値の低さから来ていることが多いものです。
「どうせ私は、愛されるに値しない」
「嫌われるくらいなら、先に離れよう」
こうした思い込みに気づき、ゆっくり手放していくことで、「終わりにしよう」と言わなくても気持ちを伝えられるようになっていきます。
大切なのは、まず自分が自分の声に耳を傾けてあげること。
自分の寂しさや不安を否定せず、受け止めてあげることで、誰かとの関係も変わり始めるのです。
まとめ:終わらせなくても、伝える方法はある
「終わりにしよう」は、とても 強い言葉です。
でも、その裏には「もっと近づきたい」「わかってほしい」という願いがあることも多いのです。
その願いを、壊す形ではなく“ つなぐ形 ” で伝えていくには、自分の内側にある本音とやさしく向き合うことが何より大切です。
次回は、「寂しい」と言えない私たちが、どうして “ 察してほしい ” という伝え方をしてしまうのかについて、お話ししていきます。
「寂しい」が言えない理由〜察してほしい気持ちと、伝えることの難しさ〜