【連載コラム10】5.怒りの奥にある「ほんとうの悲しみ」に気づく

怒りの奥にある「ほんとうの悲しみ」に気づく〜ぶつけるより、見つめるという選択〜

「また怒ってしまった…」
「あんな言い方、したくなかったのに」

本当は、怒りたくなんかない。
でも、ふとした瞬間に感情が溢れて止まらなくなってしまう。
そしてまた自己嫌悪――。

そんなふうに、自分の感情との付き合い方に悩んでいる方は少なくありません。

助産師として、心理カウンセラーとして、結婚カウンセラーとして、
私はこれまで多くの方が「怒りの奥にある気持ち」に気づくことで、大切な人との関係を少しずつ変えていく姿を見てきました。

怒りは、心からの “ 最初の感情 ” ではない

怒りは、一見とても強い感情に見えます。
でも実はそれは、本当の感情の “ カバー ” であることがとても多いのです。

たとえば――

  • 「私のこと、大切に思ってないのかな?」という不安
  • 「期待していたのに、裏切られた」という悲しみ
  • 「本当は助けてほしかったのに、気づいてもらえなかった」という孤独

こうした感情に正直になるのが怖くて、
無意識に怒りという “ 強い鎧 ” をまとってしまう。

怒りは、自分を守るための防衛反応でもあるのです。

怒りをぶつけたあとに残るもの

怒りを相手にぶつけてしまったあとの空気は、どこか冷たく、どんよりとします。

そして、どんなに言いたいことを言っても、
結局「わかってもらえた」という満足感がないまま終わることが多いのです。

それはきっと、
「本当にわかってほしかったのは、怒りではなく、その奥にある悲しみだったから」

相手との距離を縮めたいのに、
怒りによって、逆に距離を広げてしまう。

だからこそ、ぶつける前に、自分の感情の奥を見つめる選択が必要なのです。

怒りの奥を見つめるにはどうしたらいい?

怒りを感じたとき、こんなふうに問いかけてみてください。

  • 「この怒りの前に、どんな気持ちがあっただろう?」
  • 「本当は、何に傷ついたんだろう?」
  • 「私は、何を求めていたんだろう?」

最初は難しく感じるかもしれません。
でも少しずつ、自分の心に問いかける力が育っていきます。

すると、怒りを爆発させる代わりに、
「悲しかった」「わかってほしかった」
少しずつ、やわらかく気持ちを伝えられるようになっていきます。

あなたに問いかけてみたいこと

  • 最近、強く怒りを感じた出来事はありましたか?
  • その出来事の奥に、どんな感情が隠れていたでしょうか?
  • もしもその気持ちを、誰かが優しく受けとめてくれたら、どう感じますか?

まとめ:怒りの奥には、あなたの “ ほんとう ” がある

怒りは、あなたが必死に感じてきた、
悲しみ、寂しさ、悔しさ、愛されたいという願いのサインでもあります。

その感情を誰かにぶつけるのではなく、
まずはあなた自身が、その声に耳を傾けてあげること。

それが、傷つけ合う関係から、
理解し合える関係への第一歩になるのだと、私は信じています。

次回は、「安心して愛されるには、まず自分を信じることから」についてお届けします。
――「信じてほしい」と願う前に、あなた自身が自分の味方になれていますか?
安心して愛されるには、まず自分を信じることから〜自己信頼とパートナーシップの深いつながり〜