
※このコラムは「夫婦関係のモヤモヤに向き合う10のステップ― 傷つきや怒りの奥にある、本当の気持ちを知る時間 ―」というテーマの10本連載の一つです。
すれ違いや寂しさ、言えない思いを抱えながらも、どうにかしたいと思うあなたへ。
カウンセラーである私自身の経験や、これまで出会った方々の声をもとに、少しずつ心をほぐしていけるような時間をお届けします。
触れあえない寂しさを、誰にも言えずに抱えていませんか?
「もう何年も、夫婦の営みがない」
「拒まれるのが怖くて、自分からは言い出せない」
「スキンシップすらなくて、自分が女性として見られていない気がする」
セックスレスの悩みは、とてもプライベートなもの。
だからこそ、人に相談しづらく、ネットで調べても、どこか他人事のように感じてしまうこともあるかもしれません。
「触れあえない距離」に心が寂しくなる方、
相手のことは嫌いじゃないのに、愛されている実感が持てない…。
そんな葛藤を抱えている方は、実はとても多いです。
セックスレスは、単なる“夜の問題”ではない
このテーマは、とても繊細で多層的なものです。
ただの性の問題ではなく、心の距離感や信頼関係、自己肯定感にも深く関わっています。
セックスは本来、言葉を超えたコミュニケーションの一つ。
そこに「安心感」「甘える」「求められる」「触れられる」という、
人としての深い欲求が含まれているからこそ、
レス状態が続くと「自分が否定された」ような気持ちになるのです。
そしてさらに厄介なのは、
「夫婦関係に問題があるからレスになる」のではなく、
「レスが続くことによって関係が冷え込んでいく」
という、悪循環が起きやすいという点です。
あなたの「寂しさ」を、否定しないでほしい
「もう大人なんだから」
「それくらい我慢しなきゃ」
そんなふうに、自分の気持ちを押し込めていませんか?
でも、性欲=わがままや幼さではありません。
誰かと深くつながりたい、愛されたいと思う気持ちは、
とても人間らしい、自然な欲求です。
そこに寂しさや葛藤を抱くのは、あなたがちゃんと「つながり」を大切にしているから。
だからこそ、その感情を「なかったこと」にしないであげてほしいのです。
できることは「話すこと」よりも先にある
いきなり「セックスレスについて話そう」と切り出すのは、たしかにハードルが高いものです。
そんな時は、まず以下のようなステップを試してみてください。
- 相手との日常のスキンシップ(軽いハグや肩に手を置く)を意識してみる
- 自分自身が「触れられたい」「抱きしめられたい」と思っていることを、まずは自分で認めてあげる
- 性の話ではなく、寂しさや心の距離について話すことから始める
- 過去に嬉しかった触れ合いの記憶を、そっと思い出してみる
身体の距離を縮めるには、まず心の距離を少しだけ近づけること。
無理せず、ゆっくりで大丈夫です。

さいごに 〜 “つながり”を求めることは、あなたの大切な権利 〜
夫婦の形は人それぞれ。
でも、どんな形であっても「私はもっとつながりたい」と願う気持ちは、
大切にされるべきものです。
このテーマは、とてもナイーブで簡単に答えが出るものではありません。
けれど、自分の本音にそっと寄り添ってみることから、関係は少しずつ動き始めます。
それぞれの夫婦の中の答えが見つかりますように。
あなたは、いまどんなことを感じていますか?
よかったら、あなたの思い、聞かせてください。
そして、夫婦関係に悩んだときには、ひとりで抱え込まず、できるだけ早めにご相談いただけたらと思います。
このコラムが、あなたご自身の気持ちにそっと寄り添い、
心を見つめるやさしいひとときにつながれば、嬉しく思います。
次回のテーマは「感情が爆発する前にできること」です。
怒りやイライラの奥にある、本当の気持ちを一緒に見つめていきましょう。