【連載コラム1】第6回 子供を通してしか話せなくなった二人

※このコラムは夫婦関係のモヤモヤに向き合う10のステップ― 傷つきや怒りの奥にある、本当の気持ちを知る時間 ―」というテーマの10本連載の一つです。
すれ違いや寂しさ、言えない思いを抱えながらも、どうにかしたいと思うあなたへ。
カウンセラーである私自身の経験や、これまで出会った方々の声をもとに、少しずつ心をほぐしていけるような時間をお届けします。

子どもの話題以外、何を話していいのかわからない

「最近、夫婦の会話は子どものことばかり」
「子どもがいないと、会話が続かない」

そんなふうに感じたことはありませんか?
かつては何気ない会話や、一緒に笑い合う時間があったはずなのに、
気がつけば子どもを通してしか話せなくなっている…

この状況に うすうす寂しさを感じていても、忙しさや日常に紛れて、深く考える暇もない。
けれど、ふとした瞬間に、その距離の遠さに 胸が締めつけられることに悩み、相談にくる方が沢山います。

距離の始まりは、ほんの小さなすれ違いから

夫婦の距離は、ある日突然できるわけではありません。

「今日は疲れているから話す気になれない」
「言ってもわかってくれなかったから、もういいかな」

そんな小さな積み重ねが、だんだんと心の距離をつくっていきます。

その間、子どもはすくすく育ち、
家庭の中では “ 共通の話題 ” としての存在感が増していきます。
だからこそ、夫婦の会話が子ども中心になるのは、ある意味自然な流れなのです。

けれど、心の奥では
「本当は自分のことも話したい」
「もっとわかり合いたい」
という思いを抱えている方も多いのではないでしょうか。

「話す」ことをあきらめていませんか?

誰かに自分のことを話すとき、
私たちは “ 分かってほしい ” という気持ちを少なからず持っています。

けれど、過去に何度も通じ合えなかった経験があると、
「どうせ言ってもムダ」
と無意識に感じてしまい、徐々に話すことそのものをやめてしまうことがあります。

でも、だからこそ、夫婦関係において
“ 会話の糸口 ” を見つけることはとても大切です。
特別なことを話さなくてもいいのです。

「今日 ちょっと疲れてるんだよね…」
「最近こんなことがあったんだよ」

そんなふうに、少しずつ “ 自分 ” を取り戻すような会話を意識してみるだけでもしてみませんか?

今日からできる、小さな一歩

まずは、“ 子どもを通さずに夫に話しかけてみる ” ことから始めてみてください。

「最近、私こういうこと考えてたんだ」
「前にあなたが言ってた○○って、どうなった?」

ほんの一言でも、自分の思いや関心を相手に向けることで、会話の流れが少しずつ変わっていきます。

最初はぎこちなくても大丈夫。 会話の再開は、“慣れ”が必要です。
そして、「話す」ことに慣れていくと、気持ちも少しずつほぐれていきます。

少しずつ、心を通わせる関係へ

子どもがいなくなったら、私たちは何を話せばいいのだろう?
そんな不安がよぎるときこそ、自分の気持ちに目を向けるチャンスです!!

本当はどうしたいのか。 どんなことを伝えたいのか。
それを少しずつでも言葉にしていくことで、関係の空気が変わっていきます。

焦らなくてもいい。 でも、諦めないでいてほしいなと思います。
きっとこれを読んでいるあなたは、本当はこの夫婦関係を何とかしたいと思っているはずです。

あなたは今、どんなことを感じていますか?

よかったら、あなたの思い、聞かせてください。
そして、夫婦関係に悩んだときには、ひとりで抱え込まず、できるだけ早めにご相談いただけたらと思います。

このコラムが、あなたご自身の気持ちにそっと寄り添い、 心を見つめるやさしいひとときにつながれば、嬉しく思います。

次回のテーマは「夫への怒りの根っこにあるもの」です。
その怒りの裏に隠れている、本当に伝えたかった想いに気づけたとき、夫婦の関係は少しずつ変わり始めていきます。