【連載コラム1】第1回 なぜ、私たちはすれ違うようになったのか

― かつての笑顔が、いまは見えなくなってしまった あなたへ ―

※このコラムは夫婦関係のモヤモヤに向き合う10のステップ― 傷つきや怒りの奥にある、本当の気持ちを知る時間 ―というテーマの10本連載の一つです。
すれ違いや寂しさ、言えない思いを抱えながらも、どうにかしたいと思うあなたへ。
カウンセラーである私自身の経験や、これまで出会った方々の声をもとに、少しずつ心をほぐしていけるような時間をお届けします。

はじめに ― あの頃の笑顔は、どこへいったのか

付き合い始めた頃、結婚を決めた頃、
私たちはもっと分かり合えていた気がするのに…

同じ部屋にいるのに、心はどこか遠い。
言葉が伝わらず、会話が減り、ふとした言動にイライラしてしまう。

そんな経験はありませんか?
私もかつて、そうしたすれ違いの中で悩み、戸惑い、孤独を感じていました。

でも、それは“よくあること”では済ませられない、
あなたにとっての「小さな痛み」ではないでしょうか。

すれ違いを感じる瞬間 ― 心が遠くなるとき

  • 「どうせ言っても分かってもらえない」
  • 「前はもっと優しかったのに」
  • 「一緒にいても、なんだかさみしい」

そんな風に感じたことがある方は少なくないはずです。
では、どうしてそんな“心の距離”が生まれてしまうのでしょうか。

すれ違いの4つの背景パターン

①「こうあるべき」の期待がすれ違うとき

私たちは、知らず知らずのうちに相手に期待しています。

  • 記念日は大事にしてほしい
  • 家事は協力してやるのが当然
  • 家族より仕事を優先しないでほしい

どれも、本当に自然な想いですが、問題はそれを “伝えていない” こと。
「言わなくても分かってほしい」という気持ちは、多くの衝突や誤解のもとになります。

相手はエスパーではありません。
あなたの感情やニーズを読み取る力は、実は思っているほど高くないのです。

② 感謝の言葉が消えた日常

そういえば、「ありがとう」って、いつから言わなくなったんだろう…

家事をしても、仕事を頑張っても、「当たり前」と受け取られる。
でも私たちも、つい相手への感謝を忘れてしまいがちなこと、ありますよね。

感謝の言葉がない関係は、少しずつ乾いていきます。

  • 「どうせやっても無駄」と思うようになる
  • 「私ばかりが頑張ってる」と不公平感が募る
  • 「大切にされてない」と感じてしまう

こうした感情が積み重なると、会話も減り、関係に見えないヒビが入ってしまいます。

③ タイミングと心のペースが合わないとき

人生の中で、私たちは常に同じ気持ちではいられません。
仕事が忙しい時期もあれば、心に余裕がない日もあります。

たとえば、あなたが「話したい」と思っている時、
相手はクタクタで、ただ静かに過ごしたいだけかもしれません。

逆に、相手が歩み寄ってきたときに、
あなたの心が沈んでいて応じられないこともあるでしょう。

このような “タイミングのズレ” を、
「愛が冷めた」「分かり合えない」と早とちりしてしまうのはもったいないこと!!

すれ違いの多くは、“相性” ではなく “タイミング” の問題と思うとどうでしょう?

④心を開けなくなっていくプロセス

「言ってもムダ」
「どうせ伝わらない」

そんな思いが積み重なると、私たちは心を閉じてしまいます。

  • 疲れている時に、かけてほしかった一言がなかった
  • 何度伝えても変わらなかった
  • 感情より“正論”で返された

こういった体験が重なると、やがて「もういいや」と思って話すことをやめてしまう…

会話が減ると、相手は「大丈夫なんだ」と誤解し、
気持ちの交換が止まってしまう――それが “無関心” のはじまりです。

無関心は、不満や怒りよりも深刻なサイン。
なぜなら「もう、何も期待していない」という、関係をあきらめた状態だからです。

すれ違いは終わりではなく、見直すサイン

ここまで読んで、思い当たることはありましたか?
もしかすると、ちょっと胸が痛んだかもしれません。

でも、すれ違いは「修復できないこと」ではありません。
むしろ、「ここから関係を見直せるサイン」なのです。

小さなヒント:まずは自分の気持ちに気づくことから

相手を責める前に、まずは「自分は何を感じているんだろう?」と問いかけてみてください。

  • 本当は、どんな言葉をかけてほしかった?
  • どんなときにさみしさを感じた?
  • なにを「わかってほしかった」の?

自分の感情に気づくことが、関係を修復する第一歩になります。
そこから、少しずつでも話せること、伝えられることを見つけていきましょう。

おわりに ― もう一度、心が通う関係へ

「すれ違い」は誰にでも起こることです。
でも、それは“終わり”ではなく、見直すチャンスかもしれません。

焦らなくてもいい。
完璧じゃなくてもいい。

ただ、自分の気持ちに正直になること。
そして、少しだけ勇気を出して言葉にしてみること。

そこから、もう一度「心が通う関係」が始まるのだと思います。

あなたは、今 どんなことを感じていますか?
よかったら、あなたの思い、聞かせてください。
そして、夫婦関係に悩んだときには、ひとりで抱え込まず、できるだけ早めにご相談いただけたらと思います。

このコラムが、あなたご自身の気持ちにそっと寄り添い、
心を見つめるやさしいひとときにつながれば、嬉しく思います。

次回は「夫の無関心に傷ついているあなたへ」をお届けします。