「非難」と「お願い」を区別できるようになる

※この連載は、『男として、夫として。夫婦関係のモヤモヤに向き合う10のステップ』
をテーマに、パートナーとの関係に悩んだときに、自分の内側を見つめ直すヒントをお届けしています。
日常のすれ違いや衝突の中にある「本音」と「傷つきやすさ」。
それを丁寧に見つめていくことで、パートナーとの関係が変わっていく——
そんな体験をあなたにもしてほしいと願っています。
パートナーの言葉が「責め」に聞こえるとき
たとえば、パートナーにこう言われたとします。
「靴下、また脱ぎっぱなしだよ」
「子どもが 寝た後は少し静かにして」
「話してるときはスマホ見ないでよ」
このとき、あなたの心に浮かぶ感情は何でしょう?
- イラッとする
- うるさいな、と思う
- また責められてる、と感じる
- 「やってるのに」「そんな言い方しなくても」と反発したくなる
…そんなふうに感じたことがあるなら、
それは 「非難」と「お願い」の区別が曖昧になっているサインかもしれません。
なぜ「お願い」が「非難」に聞こえてしまうのか?
パートナーの言葉が “ 指摘 ”や “ 攻撃 ” に感じられてしまうとき、
そこにはいくつかの背景があります。
- 疲れているときや余裕がないとき
- 自分なりに頑張っていると思っているとき
- 過去にも同じことで責められた記憶があるとき
- 自分自身にうっすらと「後ろめたさ」があるとき
すると、たとえ相手が穏やかに伝えたつもりでも、
「また責められてる」「ダメ出しされた」と感じてしまい、
素直に受け取ることが難しくなります。

「非難」と「お願い」はどう違う?
一見、似たような言葉でも、「非難」と「お願い」には大きな違いがあります。
たとえば、
「なんでいつも手伝ってくれないの?」は 非難。
「一緒に片づけてもらえると助かるな」は お願い。
でも、受け取る側の “ 心の余白 ” がないと、お願いすら 非難に聞こえてしまう。
これが夫婦のコミュニケーションを難しくしている原因のひとつ かなと思います。
「責められている」と感じたときにできること
「また責められてる」と感じたら、反射的に反論したり黙り込んだりする前に、
まずはこんなふうに自分に問いかけてみてください。
- これは非難? それともお願い?
- 本当に責めているような口調だった?
- どんな気持ちが動いた?
- 過去の記憶や、思い込みが反応していない?
この問いかけを習慣にしていくことで、
パートナーの言葉をもう少しフラットに受け取る力が育っていきます。
「お願い」に込められた気持ちに目を向ける
たとえ伝え方が少し強くなっていたとしても、
その言葉の裏には 「こうしてくれたら嬉しい」という気持ちや、ささやかな願い が隠れているかもしれません。
- 一緒にやってほしい
- 自分の存在にも気づいてほしい
- 話を聞いてほしい
- 心地よく過ごしたい
そんな「お願い」に目を向けられるようになると、
パートナーの言葉が、少しだけ優しく聞こえるようになるかもしれません。
あなたは、どんなふうに受け取っていましたか?
- パートナーの言葉に、必要以上に反応してしまうときはどんなときですか?
- 「お願い」と「非難」の違いに、気づけた場面はありますか?
- 本当は、あなた自身も「うまくやっていきたい」と思っていませんか?
よかったら、あなたの思いを言葉にしてみてください。
誰かに話すことで、自分の “ 受け取り方のクセ ” に気づけることがあります。

このコラムを通して願っていること
あなたが「責められてる」と感じる場面に出会ったとき、
「これは非難?お願い?」と一歩引いて考えられるようになりますように。
そして、言葉の奥にある「伝えたいこと」を、
お互いに受け取れる関係に育っていきますように。
▶︎次回予告 STEP10 俺たちはまだやり直せる?(最終回)
関係の修復に希望はあるのか?
最終回では、「これから」を選び取るために必要な視点を一緒に探っていきます。