【連載コラム3】第5話:涙が出るあなたに、優しく伝えたいこと ― 感情は “ 敵 ”じゃない

※この連載について
「赤ちゃんを見ただけで涙が出てしまう」「妊婦さんを見ると、なぜか心がざわざわする」。
不妊治療の過程や流産・死産など、見えない悲しみを抱えている中で、
どうしようもない感情が湧き上がることがあります。 この連載は、そんなあなたのために書きました。
助産師として、心理カウンセラーとして、そしてひとりの女性として――。
誰にも言えなかったその気持ちを、そっと一緒に見つめていけますように。

涙が止まらない日があってもいい

ふとした瞬間に涙が出る。
街の風景の中にあるベビーカー、赤ちゃん用品売り場、SNSで流れてくる誰かの幸せそうな投稿。

「どうして今、こんなに私は涙が止まらないのだろう」

そんなふうに自分に驚いたり、戸惑ったりしたこと、ありませんか?

そうやって戸惑いを隠せず、相談くださった方々がたくさんいます。
心が張りつめていた分だけ、静かに崩れていくような涙が溢れていきます。

泣くことは、弱さじゃありません。
涙は、あなたの心ががんばってきた証です。無理してその涙を止めなくていいですよ。

感情は、あなたの“ 敵 ”ではないのです。

感情はあなたの中の「大切な声」

「悲しい」「つらい」「羨ましい」「悔しい」…
どの感情も、本当はあなたにとって大事な気持ちです。

それは、あなたが「こうなりたい」「こうありたかった」 という願いや希望が、
確かにある証拠でもあります。

だけど私たちは、
「こんなふうに思ってはいけない」
「泣いちゃダメ」 「もっと前向きに」 と、
つねに厳しく、自分の気持ちを抑えてしまいがちです。

でも、感情にフタをしてしまうと、 心の奥でそれはどんどん膨らんでしまいます。

泣くことも、怒ることも、うらやむことも、
「あなたが一生懸命生きている」からこそ生まれるもの
なんです。

どうか、その感情をやさしく抱きしめてあげてください。

泣いたあと、あなたの心にできること

涙が出る日は、無理に元気にならなくていい。
でも、少しだけ呼吸を整えて、 あなたの心にこんな問いかけをしてみてください。

「何が私を泣かせたんだろう?」
「その奥にある、私の本当の願いは?」

そこに気づけたら、それだけで十分です。

たとえ、すぐに癒えなくても。
あなたが自分の気持ちに気づけるようになったら、 心は少しずつ、静かに回復していきます。

できること:「自分へのやさしい手紙」

今のあなたに向けて、 1行でもいいので「やさしい手紙」を書いてみてください。

・今日は涙がたくさん出たね。がんばってきた証だね。
・今は苦しいけど、いつか穏やかな日もきっと来るよ。
・あなたは、あなたのままで大丈夫だよ。

誰にも見せなくて大丈夫。
よかったら、自分自身の心にそっと寄り添うような言葉を、 静かに書いてみてくださいね。

最後に 〜 あなたへ、心からのありがとう

ここまで5話、読んでくださってありがとうございました。
今も、涙をこらえているあなた、 何度も気持ちが揺れながらも前に進もうとしているあなた、
あなたの歩みは、目に見えなくても、確かに尊いものです。

私たちは、ひとりではありません。
痛みの奥にある願いを分かち合いながら、 それぞれの「自分の人生」を歩んでいます。

どうか、自分の心にやさしくあることを、
どうか、涙が出る日も、そのままの自分を否定しないことを、忘れないでいてくださいね。


このコラムは全5話の連載です。

第1話:妊婦さんを見ると心がざわつくのは、あなたが弱いからじゃない
第2話:友達の出産報告がつらいあなたへ ― 喜べない自分が嫌いになる前に
第3話:街中のベビーカーが刺さる日 ― 『羨ましさ』の奥にあるもの
第4話:「自分ばっかり…」という気持ちが出てきた時に思い出してほしいこと
第5話:涙が出るあなたに、優しく伝えたいこと ― 感情は“敵”じゃない

あなたは、どんな気持ちで読み終えましたか?


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ここまで読んでくださったあなたへ。

「少し話してみたいな」 「気持ちを整理したいな」 そう感じたときは、
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ひとりで抱え込まず、心の荷物を少しずつ下ろしていきましょう。
いつでも、お待ちしています。