
※この連載について
「赤ちゃんを見ただけで涙が出てしまう」「妊婦さんを見ると、なぜか心がざわざわする」。
不妊治療の過程や流産・死産など、見えない悲しみを抱えている中で、
どうしようもない感情が湧き上がることがあります。 この連載は、そんなあなたのために書きました。
助産師として、心理カウンセラーとして、そしてひとりの女性として――。
誰にも言えなかったその気持ちを、そっと一緒に見つめていけますように。
涙が止まらない日があってもいい
ふとした瞬間に涙が出る。
街の風景の中にあるベビーカー、赤ちゃん用品売り場、SNSで流れてくる誰かの幸せそうな投稿。
「どうして今、こんなに私は涙が止まらないのだろう」
そんなふうに自分に驚いたり、戸惑ったりしたこと、ありませんか?
そうやって戸惑いを隠せず、相談くださった方々がたくさんいます。
心が張りつめていた分だけ、静かに崩れていくような涙が溢れていきます。
泣くことは、弱さじゃありません。
涙は、あなたの心ががんばってきた証です。無理してその涙を止めなくていいですよ。
感情は、あなたの“ 敵 ”ではないのです。
感情はあなたの中の「大切な声」
「悲しい」「つらい」「羨ましい」「悔しい」…
どの感情も、本当はあなたにとって大事な気持ちです。
それは、あなたが「こうなりたい」「こうありたかった」 という願いや希望が、
確かにある証拠でもあります。
だけど私たちは、
「こんなふうに思ってはいけない」
「泣いちゃダメ」 「もっと前向きに」 と、
つねに厳しく、自分の気持ちを抑えてしまいがちです。
でも、感情にフタをしてしまうと、 心の奥でそれはどんどん膨らんでしまいます。
泣くことも、怒ることも、うらやむことも、
「あなたが一生懸命生きている」からこそ生まれるものなんです。
どうか、その感情をやさしく抱きしめてあげてください。
泣いたあと、あなたの心にできること
涙が出る日は、無理に元気にならなくていい。
でも、少しだけ呼吸を整えて、 あなたの心にこんな問いかけをしてみてください。
「何が私を泣かせたんだろう?」
「その奥にある、私の本当の願いは?」
そこに気づけたら、それだけで十分です。
たとえ、すぐに癒えなくても。
あなたが自分の気持ちに気づけるようになったら、 心は少しずつ、静かに回復していきます。
できること:「自分へのやさしい手紙」
今のあなたに向けて、 1行でもいいので「やさしい手紙」を書いてみてください。
・今日は涙がたくさん出たね。がんばってきた証だね。
・今は苦しいけど、いつか穏やかな日もきっと来るよ。
・あなたは、あなたのままで大丈夫だよ。
誰にも見せなくて大丈夫。
よかったら、自分自身の心にそっと寄り添うような言葉を、 静かに書いてみてくださいね。

最後に 〜 あなたへ、心からのありがとう
ここまで5話、読んでくださってありがとうございました。
今も、涙をこらえているあなた、 何度も気持ちが揺れながらも前に進もうとしているあなた、
あなたの歩みは、目に見えなくても、確かに尊いものです。
私たちは、ひとりではありません。
痛みの奥にある願いを分かち合いながら、 それぞれの「自分の人生」を歩んでいます。
どうか、自分の心にやさしくあることを、
どうか、涙が出る日も、そのままの自分を否定しないことを、忘れないでいてくださいね。
このコラムは全5話の連載です。
・第1話:妊婦さんを見ると心がざわつくのは、あなたが弱いからじゃない
・第2話:友達の出産報告がつらいあなたへ ― 喜べない自分が嫌いになる前に
・第3話:街中のベビーカーが刺さる日 ― 『羨ましさ』の奥にあるもの
・第4話:「自分ばっかり…」という気持ちが出てきた時に思い出してほしいこと
・第5話:涙が出るあなたに、優しく伝えたいこと ― 感情は“敵”じゃない
あなたは、どんな気持ちで読み終えましたか?
📩 心の整理をしたくなったら、お話しにきてください
ここまで読んでくださったあなたへ。
「少し話してみたいな」 「気持ちを整理したいな」 そう感じたときは、
どうぞ Inner Glowの オンラインカウンセリングをご利用ください。
助産師・心理カウンセラーとして、 あなたの言葉にならない気持ちに、そっと寄り添います。
あなたがあなたらしく、生きられる日々を取り戻すために。
ひとりで抱え込まず、心の荷物を少しずつ下ろしていきましょう。
いつでも、お待ちしています。