【連載コラム4】第3回:夫婦で一緒に悲しんでいるのに、ひとりぼっちな気がする

― パートナーとの温度差に、心が追いつかないとき ―

大切な命を失ったとき、言葉にならない感情の波が押し寄せてきます。
周囲の優しさにも、時に距離を感じてしまう。自分の気持ちがどこにあるのか分からなくなってしまう。

このコラムでは、助産師として、そして心理カウンセラーとして多くの方と向き合ってきた経験をもとに、流産・早産・死産を経験された方の心のケアについて、3回にわたってお伝えします。

この場所が、あなたの気持ちにそっと寄り添う時間となりますように。

今回は、「夫婦で一緒に悲しんでいるのに、ひとりぼっちな気がする」――
同じ出来事を経験していても、感じ方も表現の仕方も違う夫婦間の“心のすれ違い”に光を当てます。

隣にいるのに、なぜこんなに遠いの?

失った悲しみを、夫婦で共有できたら――
そう願っていたのに、現実は違った…


「彼は平気そうに見える」
「私だけがいつまでも引きずっているみたい」

そんなふうに感じたことはありませんか?

多くの方が、
「夫も悲しんでいるのは分かる。だけど、なんだか温度差を感じてしまって…」と話されます。
感情の表し方は、人によってこんなにも違うのだと、思い知らされる瞬間です。

でも、本当は違っていて当たり前なんですよね。

体の中で命を感じていた人と、外から見守るしかなかった人。

その違いは、簡単には埋まらないのは当然だと思いませんか?


助産師として目の当たりにした夫たちの「戸惑い」

お産後の病室で、泣き崩れる妻のそばで、
ただ呆然と 立ち尽くしているご主人たちを私はたくさん見てきました。

何か言いたそうだけれど、言葉が見つからない。
そして 手を差し伸べることすら怖くて、距離を取ってしまう。

実は夫たちもまた、悲しみの中でどうしていいか分からず、戸惑っているのです。

ある方は「僕が泣いたら、妻の支えにならないと思った」と仰っていました。
でも、その優しさが、結果的に妻を “ ひとりにしてしまった ”と気づいたのは、
ずっと後になってからのことでした。


カウンセラーとして感じる “ すれ違い ” の根っこ

夫婦で乗り越えたいのに、気持ちが噛み合わない――
それは、悲しみの “ 深さ ”が違うのではなく、“ 感情の出し方 ”や“ タイミング ”が違うだけ。

女性は「話すことで癒される」ことが多いですが、
男性は「言葉にせず、自分の中で整理する」傾向が強いと言われています。

だから、沈黙=無関心ではないのです。
けれど、言葉にしてくれないことで、妻は「悲しんでいるのは私だけ」と感じてしまう。

夫婦関係を見ていると、
いつもお互いに向ける思いは同じなのに、
ここがすれ違って溝ができている方が本当に多くいらっしゃいます。

こうしたすれ違いがあることは、決して悪いことではありません。
でもその違いに “ 気づく ” ことができたら、少しずつ歩み寄ることができるのではないかと思います。


あなたが「分かってほしい」と願っている気持ちは、どんな言葉になりそうですか?
その言葉を、まずはあなた自身が受け取ってあげられそうですか?

あなたの悲しみは、あなただけのものです。
比べなくていいし、急がなくていい。

今はただ、心の奥にあるその思いを、そっと抱きしめてあげてください。



3回シリーズを終えて

流産・早産・死産という出来事は、「なかったこと」にされやすい現実があります。
けれど、そこには確かに “ 命 ” があり、“ 想い ”があり、“ 時間 ” がありました。

このシリーズが、あなたの中にある気持ちにそっと寄り添い、
「私の気持ち、ここにあっていいんだ」と思ってもらえるきっかけになれたなら、
心からうれしく思います。

あなたの想いを、安心して話せる場所があります

ひとりで抱えこんでいる気持ち、
話しても分かってもらえないんじゃないかと感じている想い。

もしあなたが、
「この気持ちを誰かに受けとめてほしい」
「悲しみの中でも、自分らしさを取り戻したい」

そんなふうに感じているのなら、お話しをお伺いさせてください。

助産師として、心理カウンセラーとして、
そして何より、一人の人として、あなたの気持ちに 心をこめて寄り添いたいと思っています。

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