「パートナーとはセックスしたくない」――自分の気持ちに揺れるあなたへ
「大切なパートナーだけど、どうしてもセックスはしたくない」
そんな気持ちを、誰にも言えずに抱えていませんか?
パートナーとは穏やかに暮らせている。
価値観も似ていて、協力し合える。親としても、人生の伴走者としても、かけがえのない存在。
――それなのに、どうしてもセックスだけはしたくない。
この気持ちを抱えている方は、決して少なくありません。
けれど、“ 性 ”に関することはとても繊細で、他人には相談しづらい。
たとえ誰かに話せたとしても、「贅沢な悩み」と軽く扱われてしまうこともあったのではないでしょうか。
けれど、自分にとっては、切実で、苦しい問題ですよね。
具体的な事例:穏やかさの中にある、満たされなさ
夫はとても優しくて、育児も家事も分担してくれる。
一緒にいると安心できるし、感謝している。
でも、どうしても “ そういう関係 ” になりたいとは思えないんです。
触れられると、どこか引いてしまう自分がいます。過去に付き合っていた人は、体の相性がとても良かった。
でも、性格的に合わず将来が見えなかった。だから今の夫を選んだ。
安定や安心を手に入れた一方で、ふと “ 女としての私 ” が 寂しさを訴えてきていて…。
このように、「安心」と「性的なつながり」が一致しない関係に、
心のどこかで虚しさや寂しさを感じている人は少なくありません。
なぜ、パートナーとはセックスしたくないのか?
まず大切なのは、今の自分の気持ちに “ 名前をつけてあげる ” こと。
嫌悪感? 疲労? 性的な関心の欠如? 過去の経験からの影響?
最初は「わからない」と感じていても大丈夫です。
言葉にならない思いを、少しずつ見つめていくことが、回復の第一歩になります。
よくある背景には、次のようなものがあります:
- 妊娠・出産・育児を経て、心身の感覚が変化した
- かつてのセックス体験が義務的、一方的であった
- 相手との間に、積み重なった感情的な わだかまりがある
- 日常の忙しさの中で、自分を「女性」として感じられなくなっている
それらはすべて、あなたが “ ちゃんと生きてきた証 ” であり、
決して「間違っている」ものではありません。
欲求と現実のあいだで、揺れる心
性欲があるのに、応じたくない。
パートナーには求められたくないけど、誰かから「女として見られたい」と思う。
この複雑さはも ごく自然なものです。
「性欲=行動しなければならない」と思わず、まずは自分の欲求を否定しないことが大切です。
音楽や香り、映画、自然とのふれあいなど――
“ 性 ” はセックスだけでなく、自分らしさを感じる あらゆる瞬間に宿るものです。
自分に合った形で、心と体の感覚を取り戻すことも、ひとつの道です。
「外に求める」ことは支えになる?それとも逃げ?
実際、誰か他の人に触れられることで、「自分を取り戻せた」と感じる人もいます。
でも、そこに依存してしまうと――
- 一時的な満足感のあとに、虚しさが残る
- 隠すストレスや罪悪感に苦しむ
- 本当に大切なつながりが見えにくくなる
「今の自分が本当に求めているのは何か?」
そこを見つめていくことで、自分を大切にする道 が少しずつ見えてきます。
答えは一つじゃない。だからこそ、自分のペースでいい。
今すぐ答えを出さなくてもかまいません。
パートナーと関係を再構築する道も、
自分の人生を新たに歩み出す道も、どちらも「あなたが決めていい」のです。
そのどちらを選ぶとしても、まず大切なのは、“ 自分を置き去りにしないこと ”。
そのためにも「誰かに話せた」「理解してもらえた」と思える場所が、
あなたの中の葛藤を、少しずつ和らげていきます。

最後に:あなたの気持ちは、間違っていません
「こんなこと考えてはいけない」
「とってもいいパートナーなのに、性のことさえ問題なければ…と悩むなんて、贅沢だ」
そう思って、自分の気持ちをずっと抑えてきたかもしれません。
でも、その“ 揺らぎ ” も、“ 欲求 ”も、“ 迷い ”も、あなたが生きている証です。
このコラムが、あなたの心に小さな安心を届けられたなら――
そして、もしもっと深く自分と向き合ってみたいと感じたら、
ぜひお話を聴かせてください。
📌ご相談について
助産師としての身体理解と、公認心理師としての心理的視点の両面から、
あなたの “ 性とパートナーシップ ” のお悩みに丁寧に寄り添います。
「誰にも話せなかったけど、ここなら話せるかもしれない」
そんな気持ちで大丈夫です。
安心して、あなたの言葉を聞かせてください。
※この連載は女性向けの内容ですが、男性からのご相談も多く寄せられています。
男性の性とパートナーシップの悩みについては、別シリーズとして展開予定です。