「夫は悪くない。だけど、わかってくれない」

「ひとりで治療しているみたい」
同じ家に住み、同じ未来を願っているはずの夫。
でも、ふとした瞬間に思ってしまう。
「なんでこんなに温度差があるんだろう…」
「私ばっかりが苦しんでる気がする」って。
確かに、治療には女性の負担が多いのが現実です。
身体を整えるのも、通院も、薬の副作用も。
妊娠が成立するまでのプロセスのほとんどは、女性の体の中で起こることだから。
でもだからこそ、
「せめて気持ちだけは、一緒にいてほしい」
そう願ってしまいますよね。
「夫に悪気はない」
夫は、あなたのことを愛しているのに、
その愛し方の “ 表現方法 ” が違うだけ、ということも多いです。
たとえば──
「考えすぎるとしんどくなるから、あえて明るくふるまう」
「どうにかなると思いたくて、深く考えないようにしている」
「何を言っても妻を傷つけてしまう気がして、黙っている」
そんな “ 回避 ”や“ 無言 ”が、彼の精一杯だったりするのです。
けれどその沈黙が、
あなたにとっては「無関心」に感じてしまう。
そして傷つく。すれ違う。距離ができていく。
「気持ちのずれ」を責めなくていい
女性は、治療のステップごとに不安や希望の波を経験します。
「今日、病院で言われたこと」
「注射の痛み」
「次の移植が不安で眠れなかった」
そういう日々の揺れ動きを、言葉にして分かち合いたい。
それはとても自然な欲求です。
でも男性は、「事実が決まってから話してくれたらいい」と考えることも多く、
“ 気持ちの途中経過 ” を共有することが苦手な人が多いのです。
だからといって、それを「冷たい」と決めつけなくていいですよ。
夫婦が違うのは当たり前。
あなたの夫だけがこうではありません。
特に男性、女性の違いは、どこの夫婦でもあることです。
そして、違うままでも繋がれる道があることを知っていてください。
「パートナーとの関係も、大切にしていい」
不妊治療中は、夫婦関係の優先順位が後ろに追いやられがちです。
「赤ちゃんができたら、きっとまた仲良くできる」
「いまは仕方ない」
そう自分に言い聞かせて、恋人だった頃の距離感を忘れてしまう。
でもね、
いちばん近くにいる人だからこそ、
“ 夫 ” ではなく、“ ひとりの人間 ” として見直してみる時間も、必要なのかもしれません。
完璧じゃなくていい。
でも「ありがとう」や「ちょっと寂しかったな」って、素直に言ってもいい。
言葉にしないと伝わらないこともありますから。

おわりに
あなたの気持ちも、
夫の戸惑いも、
どちらも間違っていない。
すれ違いは、傷ではなく“ 学びの入り口 ” かもしれません。
次回は最終回。
不妊治療という道を歩んできたあなたが、これからをどう生きるか。
「未来に希望を持つために、いまできること」についてお話ししていきます。
▶︎第5回 終わりを考えるのは、あきらめじゃない