【連載コラム8】第1回:傷ついた「今」をどう乗り越える?〜自分を守る心のセルフケア〜

浮気、不倫――。
「まさか自分がこんな思いをするなんて」
そう感じながら、それでも関係を続けたい、または続けざるを得ない状況にある方は少なくありません。

許したいのに許せない。
思い出しては責めてしまう。
不安がよぎるたびに、スマホやSNSを確認せずにはいられない。
見つからないとホッとするけれど、またすぐに疑ってしまう自分が嫌になる。
頭ではわかっていても、心が追いつかない。

このコラムでは、助産師、心理カウンセラー、結婚カウンセラーとして、多くの相談を受けてきた立場から、そんな揺れる心に寄り添い、少しずつ「今」を乗り越えていくためのヒントをお伝えします。


裏切りによる「心と体」へのダメージ

人は強いストレスや裏切りを受けると、脳が「危険」を感知し続けるモードに入ります。
このとき、交感神経が優位になり、不安や焦り、過去の記憶のフラッシュバックが繰り返されます。眠れなくなったり、食欲が落ちたり、動悸や胃の痛みを感じたりするのも、この反応の一部です。

これは「心が弱いから」ではありません。
体が「今もまだ危険がある」と判断して、自分を守ろうとしている正常な反応なのです。


「許せない」「でも離れられない」——その葛藤も自然な感情

パートナーを失いたくない。信じたい。
でも、また裏切られるかもしれない…

この「愛したい気持ち」と「怒りや恐れ」が交錯するとき、人は自分の感情がわからなくなってしまいます。

「なんでこんなに責めてしまうんだろう」
「こんな自分、嫌だな……」
そうやって自分を責める気持ちが加わると、ますます心が疲弊してしまいます。

でも、まず伝えたいのは、「あなたの感情は全部、あっていい」ということ。
怒りも、疑いも、泣きたくなる気持ちも、すべて自然な反応です。
どれか1つを消そうとするのではなく、「そう感じている自分」に、まずは寄り添うことがとても大切です。


“ 心の安全基地 ” をつくるためにできること

不安や怒りに飲み込まれそうになったとき、自分を立て直す “ 心の安全基地 ” を持っているかどうかで、回復の速度が変わります。

そのために、まずおすすめしたいのは「安心できる時間や空間」を意識的に作ること。たとえば、

  • 朝や夜に、5分でもいいから一人になれる静かな時間をつくる
  • あたたかいお茶をゆっくり飲む
  • 好きな音楽を聴く、香りを楽しむ
  • 日記やノートに、感情を書き出してみる

こういった小さな行動は、「今、私は私のためにケアしている」という感覚を育てます。
それが、裏切りで崩れた「自己信頼感」の回復にもつながります。


不安が高まったときに使える呼吸法

心がざわざわして、どうにもならないときは、体からアプローチしてみましょう。

  1. 息をゆっくり吸い込み(4秒)
  2. 少し止めて(2秒)
  3. ゆっくり長く吐く(6秒)

この「吸う:止める:吐く」の呼吸は、副交感神経を優位にし、心拍を落ち着かせてくれます。
呼吸に意識を向けるだけで、「今ここ」に戻ってくる感覚を取り戻す助けになります。


最後に

浮気や不倫のあとは、「もう一度信じていこう」と思っても、心がついていかないのが普通です。
今は “ 前に進むこ と”より、“ 今ここで立ち止まってもいい ” ということを、どうか自分に許してあげてください。

自分の感情を無理に整理しようとしなくても大丈夫です。
「つらいと思っている自分」をそのまま抱えていくことで、少しずつ心は落ち着きを取り戻していきます。


次回のコラムでは、
疑い続ける自分が苦しい〜信じたいけど怖い気持ちとどう向き合う?〜」をテーマに、
スマホやSNSを何度も確認してしまう理由と、そこから抜け出すための具体的なヒントをお届けします。

「安心したいのに、安心できない」
そんな自分を少しでも楽にしてあげたいあなたに、ぜひ読んでほしい内容です。


第2回へ続く