
「許した方がいいのかな……」
「でも、どうしても思い出してしまう」
「こんな気持ちのまま、一緒にいていいの?」
浮気や不倫という裏切りを経験したあと、多くの方が「許す」か「離れる」か、二択のように感じて苦しみます。
でも本当に、どちらかしか選べないのでしょうか?
今回のテーマは、「許す」でも「忘れる」でもない、自分にとって納得できる向き合い方について。
あなた自身の心の回復と、これからどう生きていくかを見つめ直すヒントになれば嬉しいです。
「許す」って、どういうこと?無理に許さなくてもいい理由
「許したほうがラクになるよ」
「いつまでも怒っていたら、前に進めないよ」
そう言われたことがある方も多いのではないでしょうか。
たしかに、「許し」は心の平穏に向かう一つの道です。
でも、「許せない」と感じているうちは、無理に許そうとすると、むしろ自分を追い詰めてしまうことがあります。
特に、まだ傷が癒えていないときに「許さなきゃ」と頑張ってしまうと、
「私はあんなことされても我慢しないといけないの?」
「なんで私ばっかり折れないといけないの?」
と、さらに自分の中に怒りや悲しみが残ってしまいますよね。
だから、 許す・許さないを、今すぐ決める必要はありません。決めようとしないでいいんです。
大切なのは、「許せない私」を否定せず、ちゃんと認めてあげること。
それが、自分の気持ちを尊重する第一歩です。
関係を続けるか、距離を取るか迷っているときに考える “ 3つの軸 ”
裏切りのあと、これからもパートナーと一緒にいるか、距離を取るかはとても悩ましい選択です。
その答えは人それぞれで、正解はありません。
ですが、迷っちゃうのも当然です。
今回は、そんな迷いいの中で考えるヒントになる “ 3つの軸 ” をご紹介します。
1. 相手に「誠意」があるか?
→ 言葉ではなく、“ 行動 ”で見てみましょう。
たとえば、謝罪の言葉、パスワードの共有、距離の取り方、約束を守る姿勢など。
2. あなた自身が「回復」しているか?
→ 心の傷がまだ生々しいときは、冷静に判断できません。
まずは少しでも、あなた自身が落ち着ける時間を持てているかどうかが大事です。
3. 二人で「対話」ができるか?
→ 傷ついた気持ちを言葉にできる余白があるかどうか。
相手が「聞く耳」を持っているかどうか。
相手に伝えるべきこと、伝えなくていいこと
裏切られたあと、「全部話して」「全部聞いてほしい」と思うのは自然なことです。
でも、自分が話したことによって、さらに傷ついてしまうケースもあります。
だからこそ、「伝えるべきこと」と「伝えなくてもいいこと」を分けて考えてみましょう。
● 伝えていいこと:
- 自分がどれほど傷ついたか
- どんなことに不安や怒りを感じたか
- 今、どんなサポートがほしいか
● 伝えなくてもいいこと:
- 相手を傷つけることが目的になっている言葉
- 一方的に責め立てる言葉
- 自分でも整理できていない感情の爆発
傷を癒すためには、「話すこと」も大事ですが、「話さない勇気」もまた必要なことがあります。
それは、相手のためではなく、自分自身を守るための境界線でもあるのです。
自分を取り戻すプロセスと、再び信頼を築くステップ
裏切られたとき、自分の価値までも否定されたように感じてしまうことがあります。
「私って、そんなに大事にされない存在なのかな」
「もっと頑張らないと愛されないのかな」
でも、本当は逆です。
あなたは、十分に愛される価値のある人です。
その価値は、誰かの言動によって上下するものではありません。
自分を取り戻すために、できること:
● 自分の「好き」を大切にする
→ 誰かのためじゃなく、自分のために選ぶ・感じる・過ごすこと。
● 自分の気持ちを毎日少しずつ書き出す
→ 頭の中で渦巻いている感情を「外に出す」だけで、少し整理されます。
● 信頼は「積み上げるもの」だと理解する
→ 1回で回復するものではなく、日々の小さな行動の積み重ねで築かれるもの。
今日の言葉、今日の行動で、ほんの少しずつでいい。
今の自分に優しくなれるワーク:
《心の距離を見つめる “ こころの部屋 ” 》
- 紙を1枚用意し、これを「自分のこころの部屋」に見立てます。
- その真ん中に、自分の位置を決めて、「私」とか「自分の名前〇〇」と書いてください。
- その周りに「パートナー」「子ども」「友人」「仕事」「趣味」など、自分に関係する「人」や「気がかりなこと」を円で描いていきます。
- 自分自身に問いかけながら、一つ一つ、それぞれの円との “ 距離 ”を自分の感覚で「近くにしたり」「遠くにしたり」して描いてみましょう。
- 描き終えたら、「今、距離を縮めたい人」「逆に少し距離をとりたい人」は誰か、この位置がしっくりくるか感じてみてください。
- 少し距離を置いたところから、今の自分や自分の状況全体を見てみましょう。
このワークでは自分「俯瞰する目」ができるため、無意識にがんばっていた関係性から、心少しだけ心を休めるヒントになり、こころの状態の回復が早くなっていきます。

最後に
「許す」ことを目標にしなくてもいい。
「忘れる」ことができなくてもいい。
今のあなたが選ぶべきは、
“ 自分が自分を大切にできる道 ”です。
この先、関係を続けるとしても、別れるとしても、
何より大事なのは、あなた自身が「自分の人生を取り戻す」こと。
その一歩を、今ここから踏み出してみませんか?
もし、今あなたがどうしていいかわからず、誰にも言えずに苦しんでいるなら——
カウンセリングでは、安心できる場で、あなたの想いや状況を丁寧にお聴きします。
あなたの気持ちは、大切にされていいものです。
どうか一人で抱え込まず、ご相談くださいね。
次回は、
「第4回:傷ついた心のケア〜“ 時間が解決する ”だけじゃない癒しの道〜」を予定しています。
- 傷が癒えるとはどういうことか?
- 思い出して苦しくなるときの対処法
- トラウマのケアと日常でできる心のセルフケア
「時間が経てば大丈夫」では片づけられない痛みに、そっと寄り添うお話をお届けします。
ぜひ読みにきてくださいね。