【連載コラム10】 4.愛されたい気持ちが強すぎて、相手を責めてしまうとき

愛されたい気持ちが強すぎて、相手を責めてしまうとき 〜自分で自分を置いてけぼりにしていない?〜

「どうしてわかってくれないの?」
「私の気持ちなんて、もう どうでもいいんでしょ?」

そんな言葉がつい口をついて出てしまったことはありませんか?

本当は、ただ愛されたいだけ。
優しい言葉をかけてほしい。
気にかけてほしい。

でもその気持ちが満たされないまま溜まっていくと、やがて 怒りや責め の言葉となって相手に向かってしまう――。

今回は、助産師・心理カウンセラー・結婚カウンセラーとして
多くのカップルや夫婦を見てきた立場から、
「愛されたいのに、自分で関係をこじらせてしまうパターン」について考えていきます。

愛されたい気持ちは、悪くない

「私、愛されたいんです」
そう口に出すのを、どこか恥ずかしく感じてしまう人は少なくありません。

でも、人が人と関わるうえで「愛されたい」という気持ちは、何よりも自然で正直な感情です。

ただ、その気持ちを正直に伝えられず、我慢して、溜め込んで、
限界を超えたときに爆発してしまう――。

そんなパターンが積み重なると、
「なんでいつも怒ってばかりなの?」
「面倒くさい人だな」
と、相手との距離がどんどん開いてしまうのです。

怒りの奥にあるのは、「わかってほしい」

怒りの感情の根っこには、たいてい「悲しみ」「寂しさ」「無視されたような痛み」が隠れています。

たとえば、こんなことはないでしょうか?

  • LINEの返信が遅いことに、妙にイライラしてしまう
  • 自分の誕生日を軽く扱われたように感じて責めてしまう
  • 疲れて帰ってきた相手に気を遣いすぎて、逆に爆発してしまう

一見すると怒っているように見えても、
その奥には「わかってほしかった」「気づいてほしかった」という想いがあるのです。

自分の気持ち、置いてけぼりにしていませんか?

怒りの爆発の前には、必ず
「ほんとはこうしてほしかった」「でも我慢しよう」
という、小さな自己犠牲 があります。

この自己犠牲が積み重なると、やがて「私は愛されていない」と思い込み、
それを証明するかのように相手を責めるようになるのです。

でも、そもそも――

自分が自分の気持ちを後回しにしていなかったでしょうか?
「どうせ言っても伝わらない」と決めつけていなかったでしょうか?

まずは、自分の中にある「わかってほしい気持ち」に気づいてあげること
誰よりも自分自身が、自分の味方になってあげること。

それができて初めて、他者との関係にもやさしさが流れはじめます。

伝え方を変えてみる

「何でわかってくれないの?」という責め言葉を、こんなふうに置き換えてみるだけでも関係は変わります。

  • 「わかってほしい気持ちがあるんだ」
  • 「あなたに、大事にされたいと思ってる」
  • 「ちゃんと向き合ってくれると、安心できるの」

相手を責めるのではなく、自分の気持ちをやさしく表現する練習をしてみてください。

あなたに問いかけてみたいこと

  • あなたが怒ってしまうとき、本当はどんな感情が隠れていますか?
  • 「本当は、こうしてほしかった」と思う場面はどんな時でしたか?
  • 自分の気持ちに、あなた自身がどれくらい耳を傾けていますか?

まとめ:相手にぶつける前に、自分の心を抱きしめて

愛されたい気持ちは、誰にでもある健やかな感情です。
でもそれを伝える前に、自分自身がそれを否定してしまっていないか。
気づかないうちに、自分で自分を置いてけぼりにしていないか。

怒りの奥にあるほんとうの想いに、やさしく触れていくことで、
あなたのパートナーシップは、もっとやわらかく、あたたかいものへと変わっていきます。

次回は、「怒りの奥にある “ ほんとうの悲しみ ” に気づく」ことについて、お話しします。
――その怒り、本当に“怒り”だけだと思いますか? その奥にある、心の声を一緒に見つけていきましょう。
怒りの奥にある「ほんとうの悲しみ」に気づく〜ぶつけるより、見つめるという選択〜